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読書メモ

『経営教育』【読書メモ】

■このところ仕事でもプライベートでも慌ただし
い日々が続いており、なかなか落ち着かない毎日
を過ごしています。

それでも、毎日続けている瞑想のおかげか、たと
え自分にとって都合の悪いと思われる出来事が起
きても、「これは自分が試されているのかもしれ
ないな~」と前向きに受け止められることもあり
ます。とはいえ、まだまだ修行の途中だと感じて
います(汗)。


さて、今年に入り27冊の本を読んでいますが、
今回はその中でも一番有益だと思っている本を
ご紹介します。





■本のタイトルは『経営教育』。
著者の岩尾俊兵氏の経歴がユニークで、1989年
佐賀県で生まれた彼は、父親の事業失敗により
高校進学を断念し、陸上自衛隊少年工科学校に
入校。


一等陸士昇進と同時に退職後、学費を貯めるため
コンビニエンスストアや工事現場などで3年ほど
働き続けて資金を貯め、その後に高等学校卒業程
度認定試験に合格し、慶應義塾大学へ進学してい
ます。


その後、東京大学大学院経済学研究科マネジメン
ト専攻修士課程修了、同博士課程修了。
ちなみに彼は、東京大学史上初の「経営学」博士
号取得者です。


現在は、慶應義塾大学商学部准教授と東証スタン
ダード上場企業であるTHE WHY HOW
DO COMPANY株式会社(ワイハウ社)
代表取締役社長を兼任しています。





■この本の特徴は、経営学の知見を、人生や社会
の課題解決に応用できるかたちで提示していると
ころです。


それは、仕事や家庭で起きている苦しいことの
原因を分析し、対処法を提供することで、人生の
あらゆる場面で役立つ実践的な考え方を示してい
るからです。


これは、単なる知識や理論として伝えるのではな
く、「人生を変える道具」として、実践的に活用
できるので、個人でも使えるほかに、会社実務や
社内研修など、あらゆる場面で役に立つ本だと思
います。





■この本の中核をなす思想は、「価値有限思考」
から「価値無限思考」への転換にあります。


現代社会にはびこる<価値は有限で、誰かから
奪わなければ豊かになれない>という思い込み
「価値有限思考」が、人々の苦しみや対立の
根本原因であると指摘しています。


一方、多くの中核都市が焦土と化した戦後日本に
は、油田などの天然資源がなく、設備もない中で、
奇跡の復興と世界各国から称賛された原動力に
なったのは「価値無限思考」だと述べています。





■具体的には以下のような記述がされています。
『価値創造の民主化には、①顧客・従業員・株主
・債権者・取引先・社会・経営者などの利害関係
者みんなが仲間として一緒に価値創造に取り組む、

②価値創造に必要な知識が組織内で幅広く共有さ
れるといった特徴があります。』


本書の基本思想は、筆者が推し進める『人を大切
にする経営』と合い通じるもので、経営とは、か
かわる全ての人が幸せになるためにあるという点
にあります。





■さいごに本書で共感した点や刺激をうけた言葉
をしるします。


・多くの人が「仕事がキツイ」と感じる仕事は、
価値を生む創造的な仕事ではなく、価値を奪うだ
けの無意味な仕事のほうでしょう。


・経営といっても「会社における金儲け」ではあ
りません。経営という言葉の語源からして、経営
とは『他者と自分を同時に幸せにする道を見つけ
出す価値創造』を指します。


・特に日本においては、今後は組織内での役職に
関係なく、AIやロボットを部下として上手に使え
ることの重要性が増していくでしょう。


・東洋的な知行合一では「知っているということ
は、実際にできるということ」です。本書の
内容を「なるほど、そんなもんか」と納得してい
てだくことは、著者としてはもちろん嬉しいかぎ
りです。でも、日本をもう一度豊かにするには、
それだけではダメなのです。「なるほど、そんな
もんか」に「じゃあ、今日からやってみるか」
「周囲にも一緒にやる仲間を増やそうか」が追加
される必要があります。


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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人間の脳こそが無限に価値を生む“油田”である。

岩尾俊兵(経営学者・経営者 1989年~)
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