経営の新陳代謝


■毎朝、瞑想をすることは30年以上続けている
習慣です。

自宅で目覚めた日は、ロウソクと線香をつけて
やっています。

このロウソクは、約10分間、灯っているのです
が、点灯してから3分間、軽く気功を行ってから
瞑想に入ります。

瞑想に入り、呼吸を10回数えます。
呼吸を数え終わった頃、ロウソクの灯が消えます。

呼吸は、吐いて、吸ってで、一回と数えますので、
7分間で10呼吸ですから、一回の呼吸が40秒と、
とてもゆったりしたペースです。

この深く、長い呼吸は、古くから心身の健康に
よいとされ、最近では学術論文でも取り上げられ
ており、その効能を実感しています。




■現在、かかわってる、あるいはご相談を受ける
会社は、事業継承中の会社が過半を占めます。

その多くは、現在60代の経営者と30代の
後継者で、現在の経営者が30代で創業するか、
経営者に就いて、30年経過しています。





■下のグラフは、バトンを受ける方の事業継承時の
年齢別パフォーマンスをあらわしたものです。


事業継承後、5年間の売上高成長率と従業員数
成長率を示していますが、共に後継者が39才
以下で引き継いだ場合が、他の年代に比べ、
パフォーマンスが良い結果となっています。


この要因の第一は、後継者の気力と体力。

二つ目は、創業から30年経て、内外の
環境変化などから、ビジネスモデルや仕事の
進め方に生じた変革の必要性への対応の巧拙に
よるものと思料します。





■会社存続の観点から、これはとても理に
かなったことだと思います。


すなわち、事業継承は、それまでの考え方や、
やり方では、現状維持~衰退の方向へ向かう会社
を、経営陣の新陳代謝により成長へ向かわせる
チャンスであるからです。




■後継者が、先代から経営のバトンを受け取る
プロセスを以下に列挙します。

・経営資源と財務状況の把握

・社員さんたちから信頼を得る

・新経営チームの組成、あるいは自身を補佐する右腕人財の育成(確保)

・業務での実績を残す

・経営理念や経営の方向性を示し、社員さんたちの自主性(生産性)を向上させる


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。

日々是新 春木清隆

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脱皮しない蛇は破滅する。
人間も同じ。古い考えの皮をいつまでも被って
いれば、やがて内側から腐っていき、
成長する事ができないどころか、死んでしまう。
常に新しく生きていくために、私達は考えを
新陳代謝させていかなくてはならない。
ニーチェ(ドイツの思想家 1844~1900年)
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習慣の力


■今週の日曜日は妻と共に、以前、友人から
紹介された方の講演会に参加してきました。


前回の講演会で、初めて演者に接し、その熱誠に
とても感動したので、ぜひ妻もと誘い、同じ情報
を共有することができました。


妻とは、子育てはじめ、本や、走ることなど様々
なことを分かち合うことが多いので、有り難い
ことだと思っています。




■本欄では、習慣の力について情報共有します。
6年ほど前から顧問をしている会社の創業社長は
1945年の御年78歳です。

この方は中年期に重い病を得て、以来、20年
以上、定期的にスポーツジムに通われています。


お話をお聞きすると、ジムへ行くのは休館日以外、
土日も含め毎日。


帰宅後、軽く晩酌をする量も一定で、就寝~起床
時間も変わらないそうです。


さらに、毎週土曜日は、自宅から離れたご自身が
所有される別荘で、一人で過ごされることを習慣
にされています。


78歳と、同級生の多くがリタイヤされる中
現役でバリバリと過ごされているその因は、
ジム通いに象徴される、習慣実践であることは
間違いないようです。




■渋沢栄一のその著書『論語と算盤』で
習慣について以下のように述べています。


<習慣とは、人の平生における所作が重なりて、
一つの固有性となるものであるから、それが自ず
から心にも働きにも影響を及ぼし、悪いことの
習慣を多く持つものは悪人となり、良いことの
習慣を多くつけている人は、善人となると
言ったように、遂にはその人の人格にも関係して
来るものである。ゆえに何人も平素心して良習慣を
養うことは、人として世に処する上に大切なことで
あろう>


<また習慣は、ただ一人の身体にのみ付随して
いるものでなく、他人に感染するもので、
ややもすれば人は他人の習慣を模倣したがる。
この他に広まらんとする力は、単に善事の習慣
ばかりでなく、悪事の習慣も同様であるから、
大いに警戒を要する次第である。>


要は、

・いい人生を歩みたければ、良い習慣を行うこと。

・良い習慣も、悪い習慣も他人に伝染する。


ということです。



■一般的な人や会社では、緊急かつ重要な
第1領域を済ませることすら不十分な状況が
常です。


一方、長きにわたり堅調な成長を示している
会社と経営者は、緊急度は低いが、重要度の高い、
いわゆる第2領域と呼ばれる習慣の力を知悉し、
実践し続けています。



この第2領域とも呼ばれる習慣実践は、
今、やっても、やらなくても
痛くも痒くもない事柄がほとんどです。


地道にコツコツとやった人や会社と、
やらなかった人や会社では歴然とした差が
つくもので、今回、ジム通いを続けられる
社長から、その実例を改めて感じた次第です。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆
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習慣は太い縄のようなものだ。
毎日1本ずつ糸をひねり続けると、
やがてそれは、断ち切れないほどのものになる。

ホーレス・マン(教育者1796~1859年)
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「ありがとう」の効能



■今週の日曜日は、犬との散歩以外は家の中で
ソファーに寝転がり、ゆっくりと過ごしていま
した。


根が貧乏性なのか、ジッとしていることは少ない
のですが、年に何度かこのような日があります。


以前、このように何もしない休日の夕方は、軽い
自己嫌悪を感じていましたが、最近は良い休息が
できたと思っています。





■日本商工会議所が今年の9月に
「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に
関する調査」の結果を発表しました。


https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1201053


調査地域は、全国47都道府県で
調査対象は、中小企業 6,013社です。





■その結果概要は

・人手が「不足している」との回答が7割近く(68.0%)で過去最大


・そのうちの6割以上(64.1%)が「非常に深刻」と「深刻」


・非常に深刻は、人手不足を理由とした廃業等、今後の事業継続に不安がある状態


・深刻は、事業運営に支障が生じている状態


・人手が「不足している」との回答は、高い順に

介護・看護業(86.0%)、

建設業(82.3%)、

宿泊・飲食業(79.4%)で約8割となり、

最も低い製造業でも6割近い(58.8%)


・対策として上位3つが

正社員の採用活動強化 68.5%

パートタイマーなど有期雇用社員の採用活動強化 34.0%

業務プロセスの見直しによる業務効率化 33.2%


と人手不足の状況の深刻さがわかります。





■ちなみに昨年(2022年)に生まれた人は
79万人です。


これを80万人とみなし、日本の国内企業を
300万社とすると


80万人÷300万社≒0.27人となります。


経営において、この環境変化を、コロナ禍で話題
となった血中酸素飽和度に置き換えて表現すると


レベル1 96-100% :正常値
レベル2 94-95% :息切れを自覚、要注意
レベル3 90-93% :酸素投与が必要、入院を検討
レベル4 89%以下:危険水準


上記の調査結果から、現在、多くの企業は
レベル2~3の状態(一部レベル4)と推測
します。

さらに、これから働き手の減少という環境変化を
考えると、現状対応のまま、あるいは、打ち手を
間違うと、レベル4の危険水準に陥ることになり
ます。


すなわち、これからの時代は、働き手を集める
ことができない企業、離職率の高い(10%以上)
の企業は、いかに良い商品や市場があっても存続
できない時代になるといえます。




■そこで、本欄では筆者が日頃、提唱している
「人手不足時代の5つの打ち手」
について共有します。それは以下の5つです。


1,既存人員の生産性向上
2,業務の見直しによる生産性向上
3,F・E・D(女性・高齢者・障がい者)人財の活用
4,求めるスペックの人財を自社で育成
5,労働条件の改善(給与・時間・環境など)


これらの打ち手は、比較的経費もかからず、
着手しやすい順に表記しています。





■今回は「人手不足時代の5つの打ち手」の中から
<既存人員の生産性向上>について共有します。


<既存人員の生産性向上>のための打ち手は

・柔軟な労働条件の導入

・教育とスキル開発が有効ですが


筆者の経験から、一番単純で、効果があるのは
感謝を伝え合うことです。


これは、私たちが、ラーメン屋さんのカウンター
に座り、店主が厳しい言動でスタッフに接している
お店と、店主はじめスタッフ同士が
「ありがとうございます。」と言い合っているお店を
想像すると分かりやすいと思います。


どちらのお店が、スタッフがイキイキと働き、
繁盛するかは明らかです。


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。

日々是新 春木清隆

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「ありがとう」。
言う方は何気なくても言われた方はうれしい。
「ありがとう」をもっと素直に言い合おう
松下幸之助(日本の実業家/1894~1989年)
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利益配分を考える


■先週は、札幌でスポットの仕事をしました。
例によって、寄り道なしの点と点の出張でしたが、
見事に色づいた街路樹を見て、ぜい沢な気持ちを
味わいました。忙中閑あり・・・。






■同じく先週、地方都市の顧問先での情報です。
10月1日(日)に感謝祭と称したイベントを
開催し、約4,000人の来場者があったと聞き
ました。


10時から16時、入場無料で行われたこの
イベントでは、テレビでおなじみのキャラ
クターのショーやビンゴ大会、各種飲食や
地元農産物など50店以上が出店。


子どもたちから、お年寄りまで楽しめる盛り
だくさんの内容で、当日の様子を教えてくれた
社員さんの表情はとても誇らしげでした。





■今回は、会社の利益配分について情報共有
します。


ご存知のように、損益計算書では、5つの利益が
表記されています。(下表)


利益配分というと、株主配当を想像しますが、
それは下表の右端、当期純利益から支払われます。


また、中小企業では決算月が近づき、節税対策の
ために、何かに投資すべきか検討される状況が
散見されます。


このような事例から、多くの中小企業では
計画的投資(利益配分)を行えていないと
思料します。




■本欄で利益配分の源泉とするのは、
上表、利益の1番左にある売上総利益です。


一般的に利益と認識されているのは、
売上総利益から販管費を引いた営業利益ですが、
売上総利益の配分の仕方が、企業発展の成否の
鍵となります。


なぜなら、売上総利益から支払われる販管費の
中には、

・人件費
・教育研修費
・研究開発費
・広告宣伝費
・販売促進費...

などがあるからです。




■今回、改めてこのようにわかり切ったことを
書いているのは、多くの会社において、販管費の
使い方が、前例踏襲型で、前年までと同じような
惰性に陥っているからです。


大企業はもとより、永く発展し続けている
中小企業においては、販管費を明確な意志を
持って、計画的に、未来への投資として扱って
います。




■先に上げた感謝祭で約4,000人の地元の
人たちに楽しんでもらった顧問先は、
創業から50年以上成長し続けています。


この会社では、お金のない創業の頃は、創業者で
ある現会長の自宅で、働いている人たちや、
取引先などに、奥さまの手料理を振る舞っていた
と聞いています。


そして、企業規模の拡大に応じて、その状況に
応じた販管費の投資を堅実、かつ着実に実施して
いることが、成長持続の主要因です。





■下のグラフは、研究開発費が売上高に占める
割合が0%、0%超2.5%未満、2.5%以上の
3区分に分類し、営業利益率の推移を表した
ものです。


これを見ると、売上高に占める研究開発費の
割合が高いほど、営業利益率も高水準にあり、
研究開発活動と営業利益率には明確な相関が
あることが確認できます。





■以上のことから、私たち中小企業において、
会社成長のための利益配分のやり方として、


新規事業年度計画を立案する際に、販管費を
ゼロベースで設定します。


そして、お客さま・社員さん・取引先・近隣地域
など、多面的な角度で、中長期の視点から検討
することも一法です。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。

日々是新 春木清隆

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(企業にとって)利益は目的ではなく、
社会貢献を続けるための原資。
利益とは、企業存続の条件。

ピーター・ドラッカー
(経営学者 1909〜2005年)
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既存資源を活用する



■今週の日曜日(10/29)、友人と
「しまだ大井川マラソン」
10kmの部に参加しました。


高く晴れ上がった秋空の下、爽やかな空気の中で
いい汗をかくことができました。


自分がゴールした後、ゴールされる人たちを
見ていて、一所懸命にやり切った人の達成感や
満足感が伝わってきて、自分の気持もさらに
高揚しました。




■今回は、前回に引き続きセブン・イレブン
(以下セブン)の経営で自社の参考になりそうな
点と中小企業の製造業の事例を共有します。


筆者が新卒で入社した一部上場企業が、倒産に
至った要因は、性急な出店と、稚拙なM&Aに
よるものでした。


一方、セブンの成功要因は、前回ご紹介した
ように、原理原則を守り出店をガマンしたこと。


そして、今回テーマとして取り上げる既存資産
(店舗)を最大限に活用していることにあります。





■既存資産(店舗)の最大活用とは、成長の主眼
を既存店舗の売上向上として取り組むことです。


下表は、セブンが既存店舗の売上向上のために
取り組んだ主な施策です。


セブンでは既存店の売上向上策として、これらに
加え、毎週、新商品の投入がなされています。




■私たち中小企業がセブンから学ぶ点は、
既存の資産を改めて見直し、その最大活用を
模索し、実現することです。


全業種で優先して取り組む対象は、自社の提供
する主たる商品やサービスの徹底した品質向上
です。


その上で、飲食店ですと、お持ち帰りや配達ができ
ないかなどを検討すること。


農業であれば、生産物を加工して付加価値を高め
提供できないかなどを検討すること。


製造業であれば、現有技術で新たな顧客や製品が
開発できないかなどを検討することなどです。




■最後に、私たちと同じ中小企業が、既存技術を
活用して、従来の日常品から美術品などへ製品
開発し、顧客を企業から消費者へ転換した事例と
して、富山県高岡市の金属加工会社をご紹介します。


https://www.nousaku.co.jp/


ある年の暑い夏、日本海に面する富山県高岡市の
工業団地の中にあるこの会社を訪れました。


工場団地の中はかつて扱っていた仕事の殆どが
海外にシフトし、ゴーストタウンのような状態
でした。


以前、この会社は周辺にあった工場同様、
問屋の注文に応じて仏具・茶道具・花器等を
生産していました。


1985年、現在の会長が、結婚と同時に義父の
経営するこの会社に入り、職人の道に入ります。


鋳物の製作現場で17年間修業を積んだのち、
2003年、社長に就任。


その後、彼は、それまで仏具などを問屋から受注
していたスタイルから、既存の技術を活かし、
インテリアなどの新たな分野の商品開発を始め、
自社直販体制を作るなど、新機軸を次々に打ち
出しました。


現在、この会社の直営店は国内有名百貨店にあり、
海外でもブランド品の扱いで販売されています。


訪問した際に現会長が語った言葉は

『私は「できない、無理です、嫌だ」
とは言わない。たとえできなくても、
代替案を出す。そして他人の真似をしない。』


『「あなたの会社はブランディングがうまい」
と言われるのですが、私たちはお客様が
喜ぶものづくりを目指してきただけで、
ブランディングをしようとしたことは
一度もありません。

日ごろのものづくりをきちんと行い、
人さまを大事にする、という当たり前の
ことをやってきただけです』と。


ちなみに、訪問時、社長だった能作氏は
毎朝6時に出社し、23時過ぎまで仕事を
することが日常でした。


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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足下を掘れ、そこに泉あり
ニーチェ(ドイツの思想家 1844~1900年)
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