■先週の活動は、月曜日の名古屋から始まり、
金曜日は宇都宮。そして日曜日には池袋で関係
している会社の年次総会に参加してきました。


今回、年次総会を行った会社は、37期を迎える
会社です。現社長のお父さまが新潟県から上京し、
立ち上げた会社は、今や社員数300人に迫る勢い
で成長を続けています。





■人に個性があるように、会社にもそれぞれ
「社風」があります。


とりわけ中小企業では、トップの仕事観や人生観
などの哲学(フィロソフィー)と人柄が社風に
色濃く表れます。


今回、総会に参加した会社の場合、筆者が感じて
いる社風は、


<勤勉>

<優しさ>

<真面目>

<柔軟性>

<堅実>です。


これらの社風は現社長の人柄とも重なりますが
創業者の哲学や人間性がその源(みなもと)に
あります。





■哲学や社風について考える中で、興味深い一文
があります。
それは、1922年に来日したアインシュタインが
残した、日本という国への以下の賛辞です。



<以下>


近代日本の発達ほど世界を驚かしたものはない。
その驚異的発展には他の国と違ったなにものかが
なくてはならない。

果たせるかなこの国の歴史がそれである。
この長い歴史を通じて一系の天皇を戴いて来たと
いう国体を持っていることが、それこそ今日の日
本をあらしめたのである。

私はいつもこの広い世界のどこかに、一ヶ所ぐら
いはこのように尊い国がなくてはならないと考え
てきた。

なぜならば、世界は進むだけ進んでその間幾度も
戦争を繰り返してきたが、最後には闘争に疲れる
時が来るだろう。

このとき人類は必ず真の平和を求めて世界の盟主
を挙げなければならない時が来るに違いない。

その世界の盟主こそは武力や金の力ではなく、
あらゆる国の歴史を超越した、世界で最も古く
かつ尊い家柄でなくてはならない。

世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。
それはアジアの高峰日本に立ち戻らねばならない。
我々は神に感謝する。神が我々人類に日本という
国を作って置いてくれたことである。

<以上>






■国も会社も、そのトップに立つ人の「哲学」や
「人柄」が組織全体の雰囲気や方向性を大きく
左右する。そんな当たり前のことを、最近あらた
めて強く感じています。


よのなかを見渡しても、企業ぐるみの不祥事を
引き起こす会社では、やはり経営トップの考え方
や姿勢に問題がある場合が多いように思います。


一方で、長年にわたって信頼され、安定して成長
を続けている企業には、誠実さや人間的な魅力に
あふれたリーダーがいるものです。





■そう考えると、リーダーが持つ「哲学」は、
単なる経営方針ではなく、その組織の文化や
未来をつくる“根っこ”のようなものなのかも
しれません。


組織や社会の「空気」は、目に見えないけれど、
確かに人から人へと伝わっていくものだからこそ、
大切にしていきたい・・・。


あなたの信じる「あり方」は、今の家庭や職場、
社会に、どんなかたちで表れているでしょうか?


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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「2025年になったら、日本は再び立ち上がる
だろう。2050年には、列国は日本の底力を認
めざるを得なくなるだろう」

森信三(教育者 1896~1992年)
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■先週の金曜日(5/9)の夕方、銀座での打合せ
を終え、久しぶりに銀座中央通りを4丁目から
1丁目辺りまで歩いてみました。


通りを歩いてみると、通行人の7割~8割が外国
人の旅行者であることにビックリしました。


以前、家族で京都の金閣寺に行ったときに
私たち家族以外は中国人観光客だった時も
おどろきましたが、


今回、銀座を歩いている人たちの国籍は種々雑多
で、何語を話しているのかは分かりませんが、世
界各国の言語が聞こえてきます。


あらためて、日本が世界中から人気の観光地であ
ることを体感しました。





■同じく先週、かかわっている会社の会議に参加
しました。この会社では、昨年6月に行った幹部
合宿で、会議体の方向性を変えることを決めまし
た。


そして、今年1月から会議体の内容を大きく見直
し、修正をくわえながら迎えた5回目の会議です。


毎回、会議の前に社長・専務と打ち合わせを行い、
前回の振り返りから、今回の会議の方向性や内容
をすり合わせながら準備を進めています。





■ファシリテーターを務めるのは、現社長の長男
である専務です。


進行役であるファシリテーターは
「対等な仲間の一人」として場をつくることに
留意し、進めていきます。


専務が発する言葉は「問いかけ」がベースです。
例えば、「どう思いますか?」「他にアイデアは
ありますか?」などの言葉で、参加者の考えを
引き出すスタイルです。


そして、発言を遮らない・否定しない・正解探し
をしないので、役職や立場に関係なく意見を言い
やすくなり、いわゆる心理的安全性が高まってい
ることが感じられます。





■4月から新たに加えた議題の一つが、
「よかった取引(業務)事例」の共有があります。


今回、ファシリテーターは参加者一人ひとり、
全ての参加者から「よかった取引(業務)事例」
について、丁寧に質問し、その内容の解像度を上
げていきました。


幹部はその質問に答えることで、取引の内容を
振り返り、それに携わった部下のガンバリに
ついて語り始めます。


会議の後半には賞賛と拍手が自然と沸き起こる、
温かい雰囲気が広がっていきました。





■この会社は「人を大切にする経営」を
標榜・実践する会社ですが、


会議体においても、上意下達型ではなく、
共創・信頼・自律をベースとした
「会社から仲間へ」の思想で議事を進めています。


管理中心の従来型会議の場合、
会議は、報告と指示の場になり、
モノゴトは「上司が決め」、
上司の評価を意識して参加者が萎縮してしまう
ことも少なくありません。


一方、この会社の会議のように「会社から仲間へ」
の思想で議事を進めることで、
全員参加型の対話・共感・創造の場になり、
「みんなで築く」風土が醸成され、
安心して意見が言える雰囲気がつくられます。





■今年に入り4ヶ月。1/3を経過した時点で
この会社の売上と粗利益額は、前年対比110%
を超える状況で推移しています。


さらに素晴らしいことは、今回の会議を夕方に終
え、翌朝1番には、全社員が目にする掲示板に前
日の会議で共有された「よかった取引(業務)事
例」が、担当者の名前入りで十数件分貼り出され
ていたことです。


自分の体臭が気にならないのと同じように自社の
会議に違和感を抱く方は少ないと思います。


しかし、会議は組織の“日常の中のもっとも象徴
的な行為であり、無意識のうちにその会社の
「本質」をあらわすものです。


本文が、皆さんの会社における会議のあり方を
振り返るきっかけとなれば幸いです。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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「嘘でない心からの賞讃を与えよう。
心から賛成し、惜しみなく賛辞を与えよう。
相手は、それを心の奥深くしまい込んで、
終生忘れないだろう」

デール・カーネギー(作家 1888~1955年))
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■マスコミは、連日、アメリカ大統領の政策から
各国がその対応に苦慮している内容を報道してい
ますが、


日本のGWは、各地で多くの人が楽しんでいる
ようすが、テレビなどで映し出されていました。


あらためて、80年続いている平和の有り難さを
感じた休日でした。





■さて、4月28日、中小企業庁から
「2025年度版中小企業白書」が発表されました。


この白書は毎年確認しており、過去10年の主な
テーマや方向性をまとめたものが下の表です。


この表をみますと、「人手不足」が継続
して大きな課題として取り上げられていることが
わかります。


過去10年で大きく取り上げられなかった年は
コロナ禍の始まった2020年から4年間で、
その他の年は重点的に取り上げられています。


「人手不足」とその対応について、本欄でも何度
か取り上げてまいりましたが、今回もその対応に
ついて考えていきたいと思います。





■「人手不足」の環境下であっても、私たち
中小企業が、成長し続けるには、以下に示した
「好循環のサイクル」を回していくことが大切です。


すなわち、経営理念の理解・実践・浸透を軸に
好業績~高待遇~採用~育成~成長~好業績の
循環を回していくことです。


上の図は過去の本欄でもご紹介しましたが、
今回は、その起点となる「好業績」について
少し掘り下げて考えてみたいと思います。





■好業績を実現するための第一歩は、
「高粗利益率の成功事例を作り上げること」です。


その際、粗利益=売値-原価の数式から、
原価を下げる打ち手より、
売値を上げる方策に力をいれることです。


売値を上げるためには、「付加価値」を上げ
なければなりません。


「付加価値」とは読んで字のごとく、
「価値」を「付け加える」ことです。


つまり、企業側の都合や作り手の論理
(プロダクトアウト)ではなく、


お客さまが本当に求めているもの(価値やニーズ)
を徹底的に追求し、それに応えることで販売活動
が不要になるほど自然に売れる仕組みを作ること
です。





■筆者が、年商3億円で債務超過の会社を
株式上場に導いた大きな要素の一つが、
「付加価値」の創出活動でした。


具体的には、入社した当初、一営業担当として
現場でお客さまと接した経験から、この会社の
主力商品を


「広告」から「広告の効果=集客」
と再定義したのです。





■お客さまにとって、広告を出す動機は売上を
上げるためですので、広告を出し、その対価に
見合った広告効果=集客=売上増が実現できれば
機会があった際に、再度利用していただける
可能性が高まるわけです。


それまでの営業会議では、精神論で売ることが
話され、営業パーソンは業績を上げるために、
値引きを行い、定価はあってないような状態で
したので、粗利益率は格段に上がりましたし、
売上も上がり続けました。





■まずは、粗利益率が10%以上高まる方策を
考えることです。


上記事例は、主力商品の定義付けを見直したこと
から始まりましたが、会社によっては、違う商品
群・違う地域・新たな商品や地域にある場合も
あります。


多くの場合、そのヒントは現場にあり、
お客さまが持っています。


SWOT分析などのフレームワークを使ったり
SEO(検索エンジン最適化)や、
LPO(ランディングページ最適化)などの
デジタルマーケティングの活用も重要ですが、


最終的には「現場の一次情報」に触れることが、
最も価値ある気づきにつながります。


そこには未来の会社を成功に導くヒントが
必ず隠されているはずです。


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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「現場に答えがある。」

大山健太郎
(アイリスオーヤマ創業者 1945年~)
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「1・3・5の法則」で読み解く、企業成長の節目と乗り越え方



■今週の月曜日(4月28日)、2013年から
かかわらせていただいている企業で、
「売上100億円」を目指すプロジェクトの
キックオフミーティングが行われました。


この会社は、1971年に地方都市で創業され、
現会長が立ち上げた企業です。


支援を始めた2013年当時は、20億円台の
年商でしたが、そこから着実に成長を遂げて
きました。


今回のプロジェクトは、これまでの蓄積をさらに
大きなステージへと進める、いわば“次の壁”を
超えるための取り組みです。


今回はこの会社とのかかわりから考えたことを
共有します。





■「1・3・5の法則」
この法則はビジネスや自己管理の分野で広く
使われている経験則です。


企業の売上成長は、以下のような節目を乗り越え
ていくことで、次のステージへ進んでいくと考え
られています。


1億 → 3億 → 5億

10億 → 30億 → 50億

100億 → 300億 → 500億


このように、成長の過程で「節目」となる売上
規模があるのです。たとえば、年商5億円までは
順調に成長したものの、10億円の壁をなかなか
越えられない――といったことは決して珍しく
ありません。


会社によってその段階は違いますが、あるライン
を越えたくてもなかなか進めない…という時は、
まさに“その節目”に差し掛かっていることが多い
のです。





■企業がある一定の年商ラインで成長が鈍化
したり、停滞したりする場合、多くは
「次のステージに進むための課題に直面している
状態」です。


つまり、解決しなければならない課題に対して
正解が分かっていないか、分かっていても実行
できていない。


結果、業績の停滞や、離職者の発生、同じような
苦情が止まない…などの現象が発生しているのです。


これは、身体に例えるなら
「不摂生によって病気が表れる」ようなもの。


表に出る問題は、
「本質的な課題を見つけ、解決しなさい」
という天からのメッセージなのだと、
筆者は理解しています。





■経営において、このような場合、一般的には、
正解を分かっていない場合が多いようです。


これは筆者自身の経営経験と多くの会社と成長を
共にしてきて感じる、まさに経験則からです。


なぜ正解が認識できないのか?
それは、創業者や経営陣が“過去の成功体験”に
縛られているからです。





■たとえば、創業者自身が営業のエースで、
「自分のやり方でここまで会社を成長させた」
という実績がある場合。


その方法が今の会社の規模や体制に合わなく
なっていても、なかなか手放せないのです。


このようなときこそ、表面的な成果や行動に
とらわれず、「本当に変えるべきこと」を
見極め、適切な施策を行うことで、さらなる
成長が期待できます。





■冒頭でご紹介した2013年から伴走してきた
この企業も、数々の節目と課題を乗り越え、
着実に成長を遂げてきました。


今回のプロジェクトメンバーは社長を含め9名。
そのうち6名は20代〜30代の新卒入社組で、
会社の将来を担う人財たちです。


キックオフミーティングでは、社長からプロジェ
クトの意義について説明があり、役員による概要
説明のあと、メンバーから前向きなコメントが続
きました。


筆者はその様子を見て、
「このプロジェクトは成功する」
とお伝えしました。


その理由は、社長の人間的な資質と、メンバー
一人ひとりの人間力・仕事力の高さにあります。


特に、社長が備えている以下のような姿勢が
重要と考えます。


・私利私欲が少ない

・素直である

・前向きな考え方を持っている

・勤勉である



企業ごとに直面する課題は異なりますが、
共通して言えるのは「経営者の心の持ち方」が
未来を左右するということです。


どれほど困難に見える状況でも、経営者が謙虚に
学び、前向きに挑戦を続ける姿勢を持てば、
必ず道は拓けていくと信じています。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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「会社は、規模が3倍になると経営を一度リセットしなければならない。」

柳井正(ファーストリテイリング創業者 1949年~)
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採用ゼロ時代に勝つ会社の“人と組織”のつくり方



■先日、かかわっている建設系の2社と、
今期の業績見込について話す機会がありました。
どちらの企業も、売上高が前年比でそれぞれ
120%、150%超えの見込みです。


ただ、興味深いのは両社とも
「売上至上主義ではない」という点。


どちらも無理な営業や急拡大を避け、
あえてセーブ気味に経営しています。


世の中の多くが「売上アップ」「成長加速」に
躍起になる中、今回は、こうした姿勢を貫いて
いる2社の経営から考えたことを共有します。





■この2社は共に、建設業の中でも「設備工事業」
を主な事業領域としています。


近年、「人手不足による倒産」が増えています。
わけても、建設業界はその傾向が顕著で、帝国
データバンクの調査によれば、全業種の中で最も
多く、倒産全体の約3割を占めています。


(出所:帝国データバンク)





■人手不足倒産の背景にあるのは、1995年を
ピークに減少し続けている
「生産年齢人口(15〜64歳)」です。


これは、構造的・不可逆的な問題で、少なくとも
今後30年はこの傾向が続くと考えます。


このような現状は、実は私たち中小企業の将来を
映し出しているとも言え、今後、ますます
「人手が確保できないことで廃業に追い込まれる
中小企業」が増えるでしょう。


そして、将来的には業界の構成が「大手企業」と
「少数精鋭の中小企業(現在の2割程度)」に
二極化し、その他多くの企業は、経営者の高齢化
とともに姿を消す…。
そんな時代が訪れる可能性が高いと考えます。





■それは、ますます厳しくなる採用戦線において、
資金力やブランド、福利厚生など体力に優れる
大企業は、大変ながらも人を確保し、


一方、私たち中小企業は、人件費を上げたくても
利益率が低い。魅力を伝えるブランディング力が
乏しい。地方やニッチ業種ほど人が来ない。


結果的に、求人を出しても応募がほぼゼロ、
採っても定着しないという現実・・・。


よって、買い手(需要)はあるが、
作りたくても作れない。
売りたくても売れない。
要は、人がいなければ、仕事があっても
事業を継続できくなるのです。






■しかし、心配することはありません。
先にご紹介した2社のように、立派に売上を
伸ばし続けている会社もあるのです。



両社に共通する成功のポイントは次の5つです


1,独自性のある経営理念を掲げている

2,その理念を日常業務に落とし込む努力をし続けている

3,提供する品質の向上に、地道に取り組んでいる

4,経営者の情緒が安定している

5,経営者としての「仕事観」がしっかり確立している


とくに4,と5,は注目すべきポイントです。
経営者のこの姿勢が、幹部から若手まで、
安心して働くことができる職場環境をつくり
出しているのです。





■このような好ましい職場環境が、結果として
社員数の増加、年齢層の若返り、さらには
お客さまの期待に応えられる体制へとつながって
いるのです。


そして上記1~5は、業種や企業規模、立地条件
を問わず、資金的な負担も少なく、今すぐにでも
取り組める打ち手です。


「ピンチはチャンス!」
この大変な時期に、会社も大きく変わること。
厳しい状況だからこそ、経営の本質と向き合い、
根本から会社を見直すチャンスです。
共に生き残り組を目指しましょう!



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。
彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。

ピーター・ドラッカー(経営学者 1909〜2005年)
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