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当たり前は、ある日突然なくなる

■先週末、家族3人で都内の飲食店を利用しよ
うと店内に入ると、店のご主人らしき方から
「申し訳ございません。報道でご存知かもしれ
ませんが、決済会社の倒産で、現在クレジット
カードが使えません」との案内がありました。


無事に食事はできましたが、この出来事から考
えたことを共有します。





■今回倒産したのは、全東信という会社です。
飲食店などの加盟店に対し、クレジットカード
会社からの入金を立て替える決済代行サービス
を提供していました。報道によれば、負債総額
は約1,259億円規模で、2026年最大級の倒産と
されています。


このサービスは、飲食店を顧客として複数の
カード会社との間に入り、
「資金繰りが楽になること」を主な利点として
提供されてきました。







■これを飲食店側から考えてみます。

月商500万円の居酒屋で、カード比率が50%、
全東信が週2回入金だったとすると、未回収に
なる金額は数十万円から100万円前後になるケ
ースは十分考えられます。


営業利益率5%の店であれば月の利益は25万円。
未回収金100万円は、利益の約4か月分が一気
に失われることを意味します。


経営者にとって本当に怖いのは、カード決済が
できなくなることそのものよりも、給料や仕入
れの支払いに支障をきたすという事態です。


売上は確かに立っていた。お客様も支払いを済
ませていた。それでも、自社の外側にある決済
インフラの問題で、資金繰りが崩れる。


ここが今回の一件の本質だと思います。





■キャッシュ・コンバージョン・サイクル
(CCC:Cash Conversion Cycle)という
指標があります。


聞き慣れない言葉ですが、内容はシンプルです。
原材料の仕入れや仕込みなどのためにキャッシ
ュ(現金)を外に支払ってから、売上として手
元に現金が回収されるまでにかかる日数のこと
です。


飲食店で、その日仕入れた材料をすべて現金で
売れば、CCCはゼロ日。製造業で、現金で仕入
れた材料を加工・販売し、30日後に入金があれ
ば、CCCは30日です。




皆さんの会社のCCCは何日でしょうか。





■CCCは経営者にとって、短ければ短いほど
良いことですが、なんとマイナスの会社があ
ります。


CCCがマイナスということは、先に売上が
現金で入り、支払いで現金が出ていくのは後。
なんとも羨ましい限りです。


その代表例は皆さんご存知のアマゾンです。
CCCは年によって変動しますが、おおむね
▲20日から▲40日。


年会費を先に受け取るプライム会員制度や、
在庫を持たないデジタル商品(Kindleなど)
が、それを実現しています。





■今回の倒産は、コロナ禍での売上激減が主た
る要因の一つと言われています。飲食店の経営
者の多くは、自店の資金繰りを支えるインフラ
そのものに、事前に懸念を持っていたわけでは
なかったはずです。



諸行無常(しょぎょうむじょう)。

仏教の根本教理のひとつで、「あらゆる存在・
現象は常に変化し続けており、永遠に同じ状態
で留まるものは何一つない」という考え方です。


信用も、便利な仕組みも、当たり前だと思って
いる取引関係も、すべて一時的な状態にすぎま
せん。


永続を前提に依存し切ったところに、今回のよ
うな出来事は起こります。





■私たち中小企業にも、今回の飲食店のように
「当たり前すぎて疑ったことのないインフラや
慣習」が、きっとあるはずです。



皆さんの会社を支えている仕組みの中で、
「もし明日それが止まったら」と考えたとき、
一番答えに詰まるものは何でしょうか。


今回の全東信の出来事を、日常を第三者の視点
で見直す機会、そしてアマゾンのような優れた
CCCを実現するための良い機会として、私自身
も考えていきたいと思います。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も皆さまにとって、
最良の一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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会社は利益で成長し、
信用で回り、
キャッシュで生き残る。

作者不詳
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