働き方改革の本質とは? “休む権利”と“働く権利”を考える
■まだまだ酷暑が続きますが、皆さまお変わりご
ざいませんか。先週は14日から17日まで4日間、
ゆっくりと休ませてもらいました。
お盆にまとまった休みを取るのは本当に久しぶり
で、いつ以来か思い出せないくらいです。
新卒で入った会社が、お盆や年末年始が一番忙し
い業種だったこともあり、盆暮れや日祝日に働く
ことに全く抵抗がありません。
そんな働き方を当たり前と感じられるのは、商売
をしていた両親の背中を見て育ったからかもしれ
ません。働くことを楽しむ両親の姿や会話が、今
の私の価値観を作ってくれたと心から感謝してい
ます。
■先日、大学4年生の息子と、彼の小学校時代の
同級生の話になりました。その同級生が、高卒後
ドラフト指名されて入ったプロ野球球団の選手か
ら、事務方に転向した話を聞きました。
プロ野球に入った同級生は、小学生当時から、
まさに頭抜けて身体が大きく、抜群の運動神経の
持ち主だったそうです。
幼い頃から夢だったプロ野球の世界で、どれほど
の努力を重ねてきたか。そして、プロ野球選手を
断念せざるおえない苦渋の選択…。プロ野球やプ
ロスポーツの厳しさについて語り合いました。
■その話の延長線上で話したのは、プロスポーツ
と比べた場合、ビジネス世界の競争の<ゆるさ>
についてでした。
日本の法人は300万社とすると、社長になれる
人は300万人。
同じく上場企業は約3千社で、社長になれるのは
3千人。上場企業の役員を5人とすると1万5千
人が上場企業の役員になれます。
プロスポーツの世界と比べて、なんと<ゆるい>
競争率でしょう。
しかし、この現実に気づいている人はそう多くあ
りません。
■わが国では近年、働き方改革によって、労働時
間の短縮化や有給休暇取得の促進が進んでいます。
働く人にとって、健全な生活をするために、働き
方が見直され、働く時間が短くなる「権利」があ
るのは素晴らしいことです。
一方で、圧倒的な努力によって豊かな人生を築き
たいと考える人が、長時間働く「権利」もあって
いいはずです。
実際、息子の周囲では一週間に80〜100時間以上
働くことを承知の上で、外資系投資銀行などに就
職を決めている人たちもいます。
■これは、「量は質に転化する」という考え方に
も通じます。
筆者も50才になるまで年間4,000時間以上働い
てきました。その経験から、圧倒的な業務量をこ
なす中で、知識やスキル、対応力や洞察力などが
極限まで鍛えられ、いわゆる「仕事筋肉」がつく
ことを実感しました。
さらにそれらの体験をつうじて、大きな達成感や
さらなる高みを目指す気概、そして質の高い人た
ちとの出会いが待っていました。
■働き手の絶対数が減っていく時代において、
「働き方改革」という言葉は単なる労働時間の
短縮のことだけを指すものではないと考えてい
ます。
働くからこそ得られる貴重な経験、仲間との絆、
そして人生を豊かにしてくれる喜び――。
それらを、これから社会に羽ばたいていく若い世
代へ伝えていくこと、そして一人でも多くの人が
「働くことを通じて自分の可能性に出会える」
ように背中を押していくこと。
その責任をあらためて強く感じています。
大変な時代だからこそ、働くことの意味や価値を
自分の言葉で丁寧に伝え続けていこうと、思いを
新たにしたこのお盆でした。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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「勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。」
「小利口に儲けることを考えたらあきません。世の中にぼろいことはないから、結局流した汗水の量に比例して、成功するわけですわ。」
松下幸之助(経営者 1894~1989年)
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