「ムリ」と言わない組織の作り方
■先週は、週の初めに静岡県での仕事があり、
土曜日には顧問先の横浜での忘年会に参加するな
ど、志を同じくする仲間との会食が続く一週間と
なりました。
おかげさまで、多くの方と楽しい会話をすること
ができました。ありがとうございます。
そんな中、5日(金)は予定していたイベントが
日程変更になったので、昼過ぎまで、デスクワー
クを行い、その後、幕張の浜を10㎞ほど走り、
温浴施設でサウナと温泉を楽しみました。
ご存じの方も多いと思いますが、サウナの楽しみ
方は、サウナ~冷水浴~外気浴を繰り返します。
当日、外気浴をする場所から見える東京湾と、美
しく色を変えていく夕焼け、そしてその先にどっ
しりと構える富士山を、飽きることなく眺めてい
ました。
水平線に夕陽がしずみ、そのあとも刻々と変化す
る空の色、海の向こうにくっきりと浮かぶ富士山
のシルエットをただぼんやりと見つめていると、
日頃、目の前のスマホやPCモニター(数十セン
チ先)を見つめる時間が多い自分にとって、
100㎞以上先の景色を眺めることが、とても新鮮
な体験で、心の中がゆっくりとほどけ、静かなゆ
とりが生まれたような気がしました。
■先週、製造業の顧問先で、とても嬉しいお話を
聞きました。ある拠点の製造部門が、お客さまか
らいただいた厳しい納期のご要望に、見事に応え
たという出来事です。
そのご要望とは、本来であれば数週間はかかる仕
事を、「1週間以内に納められないか」という、
非常にチャレンジングなものだったそうです。
営業担当者が拠点の製造部門に相談したところ、
「やりましょう!」と受けてくださり、そこから
本社の製造部門や間接部門にも協力を仰ぎ、まさ
にチーム一丸となって取り組んだ結果、無事に納
期に間に合わせることができたとのことでした。
■一般的な会社では、お客さまからの問い合わせ
に対し、営業担当、もしくは製造部門で
「それはムリ」という判断で、機会損失を起こし
ている場合が少なくないと思います。
そして、その情報すら経営層に上がりません。
しかし、この会社の場合、営業担当~製造部門、
そして、本社も一丸となってお客さまからの難し
いご要望にお応えしたのです。
こうした組織の状態を、最近よく耳にする言葉で
「エンゲージメントが高い組織」と呼びます。
「エンゲージメントが高い組織」の筆者の解釈は
「自ら仕事に関わり、貢献したいと考える人が多
い会社」です。
■「エンゲージメントが高い組織」の反対は、
日本の多くの企業にみられる「エンゲージメント
が低い組織」です。
下表は、筆者からみたそれらの組織の対比です。
これは、上から下への因果関係(循環関係)とな
っており、コミュニケーションとリーダーシップ
の質が離職率に影響を及ぼし、それが提供品質~
労働生産性~売上増大と収益改善につながるとい
う考え方です。
■多くの会社では、目先の売上や収益の改善に注
力しがちです。
しかし、それでは「モグラ叩き経営」をやり続け
ることになり、クレームや事故があとを絶たず、
水面下の不平不満はふくらみ、離職者は減らず、
機会損失が続き、業績は一向に向上しません。
■では、どうしたら「エンゲージメントが高い組
織」がつくれるのでしょうか?
その第一歩は、経営者が「エンゲージメントが高
い組織=人を大切にする経営」を目指すと決意す
ることです。
筆者のかかわる会社は、すべて「エンゲージメン
トが高い組織=人を大切にする経営」を目指して
います。
■そして、その決意を具現化するのが役職者です。
役職者は、働く人々がのびのびと働ける場をつく
る、つまり、安心して挑戦できる環境を整備する
ことが求められます。
具体的な行動指針として、役職者は次の3つの
姿勢で組織風土を作り上げなければなりません。
1, 働く人を信じて
(人の強みを活かす)
2,働く人がのびのび働ける場をつくること
(安心して挑戦)
3,そして、ちゃんと報いること
(公正な評価)
■そのために、私たち経営者は役職者に対して、
彼らが(安心して挑戦)できる環境として、先に
上げた図表のコミュニケーションとリーダーシッ
プを不慣れながらも、コツコツとやり続けること
が不可欠です。
そして、その成果を半年や1年で求めないことで
す。なぜなら私たち人間はそんなに急に変われな
いからです。
実際、10年ほど前はパットしなかった社員さん
が立派な幹部に育っている事例がいくつもありま
す
「人を大切にする経営」は、長期的な成長と安定
した業績を必ずもたらします。
これからも、その実現に向けて、共に愚直に取り
組んでいきましょう!
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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真のリーダーは、人々がどこへ向かっているのか、
なぜ向かっているのかを理解させる。
そして、彼らがそれをやりたがるようにする。
ジョージ・パットン(軍人 1885~1945年)
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