経営の根は丹精込めた人づくりにあり ― 定着率を6ポイント上げた実践記 ―
■一昨年の母の日に妻にプレゼントした胡蝶蘭
が、今年、見事な花を咲かせてくれました。
買った年と昨年は、花は咲きませんでしたが、
妻が毎日のように語りかけて育てた気持ちがつ
うじたのでしょう。
人も花も、気にかけてもらえると、嬉しい気持
ちは同じなのだと、あらためて実感しており
おかげさまで、多くの恵みをいただいています。
■昨年9月から従業員1,000人規模の顧問先
で、定着率の向上に取り組む活動を進めてい
ます。
年度末であるこの3月、8か月前倒しでその
中間目標を達成したことについて共有します。
幹部13人が中心となって取り組んだこの活
動。彼らは昨年の11月に全社の改善目標を
以下のように設定しました。
1年後:6ポイント改善(今回前倒しで達成)
↓
3年後:さらに3ポイント改善
↓
5年後;さらに5ポイント改善
■今回、6ポイントの改善ができたということ
は、
1,000人×6%=60人
年間で約60人の離職を食い止めた計算になり
ます。
一般的に従業員1人の離職コストは
「採用費+教育費+生産性低下」を含め、
年収の0.5〜1.5倍と言われます。
仮に1人あたり100万円と控えめに見積
もった場合でも、単年度で約6千万円規模の
損失回避(利益創出)に相当します。
■この活動のミーティングは月1回で1時間。
まず最初に行ったのは、「目的の共有」でした。
多くの会社でも、このような取り組みをされて
いると思いますが、この目的共有こそが結果に
半分以上の影響を及ぼすと感じています。
つぎに、過去4年間の部門別実績を共有し、
先ほどご紹介した5年後の目標から逆算して、
具体的な目標値を設定しました。
■さらに、幹部が打ち手を考え、それらを整理
し、「優先すべき3つのアクションプラン」
(下図)にまとめ、同時に各部門の重点現場を
3箇所選定しました。
■その後は、毎月の離職者情報を部門別に
モニタリングしながら、
マネジメントサイクルを回し続けた結果、
今回の成果につながっています。
これらの取り組みについて俯瞰してみると、
6ポイント改善という短期成果の出発点には、
「幹部の意識変化」があります。
そこから
「組織としての仕組(標準)化」が進みつつあり、
中長期的な「企業価値向上」にもつながって
いくと考えています。
■今回の取組が一定の成果を上げている最大の
要因は、経営陣が、素直で勤勉な幹部を育てて
こられたことにあります。
人事制度や採用手法、報奨金、最近ではAI
活用など、効率的でスマートなやり方に目が
行きがちですが、
やはり経営の土台となるのは、時間と手間をか
けて人を育てることだと感じています。
■創業65年を超え、現在事業承継の途上に
あるこの会社。
社長はじめ、経営陣が丹精込めて人を育ててき
た地道な取り組みは、
今回の成果を「花」とすると、
その「花」を支える地中の「根」にあたる
ものです。
■2年連続5%を超える賃上率のインフレ下に
おいて、人件費高騰を
「定着率向上による採用・教育コストの削減」
と
「習熟度アップによる生産性向上」
で吸収し、更に強い会社をつくる事例として
少しでも経営の参考になれば幸いです。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、
最良の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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会社は人なり。
人を大切にすることが、必ず会社の繁栄につながる。
松下幸之助((実業家/1894~1989年)
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