AIは「アプリ」、心は「OS」
■8月9日(日)の朝、久しぶりに皇居ランを
してきました。
熱中症にならないよう、脈拍と体調をこまめに
確認し、水分を補給しながら1周5kmを無事に
走り切り、爽やかな汗をかくことができました。
■生成 AI(以下、AI)については、
ChatGPTが公開された2022年11月の翌月に
本欄で「便利な道具」と題してご紹介しました。
それ以来、自身も継続して使っていますが、
最近は顧問先の皆さまとAIについて話す機会
が急速に増えています。
その内容は、AIが作成した資料をもとに事業
について議論や、AIを活用した新規事業の可
能性を検討など、その内容も、より具体的かつ
実践的になってきました。
今回は、そうした対話を重ねる中で考えたこと
を共有したいと思います。
■AIの進化は、日進月歩どころか「秒進日歩」
と表現したくなるほどの速さです。
できることが次々と増え、回答の精度も高まっ
ていることを実感しています。
一方、注意しなければならないこともあります。
AIが作成する資料は、一見すると論理的で、
分かりやすく整理されています。その完成度の
高さゆえに、書かれている内容をそのまま信じ
てしまいやすいのです。
例えば、AIが作成した事業企画や課題解決策
が、一般論としては正しくても、その会社特有
の歴史や事情、そこで働く人たちの思い、現場
の実態までは十分に反映されていないことがあ
ります。
そのまま進めてしまえば、いつの間にか当初の
目的から外れてしまう可能性もあります。
■日常的にAIを使っている方はお気づきかも
しれませんが、AIは相手を安心させるような
肯定的で心地よい言葉を多く使います。
論語に『巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょ
くすくなしじん)』という言葉があります。
言葉巧みで、表情を取りつくろう人には、
かえって誠実な真心が少ないことがある、
という意味です。
もちろん、AIが人をあざむこうとしているわ
けではありません。
しかし、真心や思いやりがあるように感じ
られる文章をつくることができるため、
私たちは、その提案や助言を必要以上に信
頼してしまうことがあります。
■さらにAIは、膨大な情報を集め、整理し、
編集することを得意としています。
一方で、会社の現場で起きていることや、人と
人との関係、言葉になっていない感情までは、
使い手である私たちが条件づけして初めてそれ
を考慮した内容を示します。
すでに十分ご承知の方には「釈迦に説法」かも
しれませんが、AIを有効に活用できるかどうか
は、使い手である私たちの知識、経験、判断
力、そして人間への理解にかかっているのだ
と思います。
■そのような背景の中で、私たちがAIを活用
し、より幸せになるためには、AIを「アプリ
ケーション(応用ソフト)」、人間の心を「OS
(基本ソフト)」と捉えると分かりやすいので
はないでしょうか。
AIは、「どうすれば効率よくできるか」とい
う答えを示すことはできます。
しかし、
「何に心を動かされるのか」
「何を大切にしたいのか」
「どのように生きたいのか」
という目的や意志(Will)を、自ら持つ
ことはできません。
私たちの心というOSに「何のために」という
明確な目的があって初めて、AIという強力な
アプリケーションを、人の幸せにつながる方
向へ働かせることができます。
どれほど高度なAIが業務を効率化し、優れた
答えを導き出したとしても、その成果を「嬉し
い」「心地よい」「ありがたい」と感じるの
は、人間の心です。
もし、心というOSの手入れをせず、AIの処理
速度や利便性だけを追い求めてしまえば、便利
にはなっても、本来の目的である「幸せ」から
は遠ざかってしまうかもしれません。
■ここからは、心というOSを整えるために、
筆者が顧問先の皆さまや身近な方々にお伝えし
ている方法を、三つご紹介します。
1.一日の中に、目を閉じる時間をつくる
たとえ1分でも、静かに目を閉じ、自分の内側
に意識を向けると、心が少しずつ整っていきま
す。
目をとじていると、退屈、焦り、まとまりのな
い考えなど、不快な感覚が浮かんでくることが
あります。
それらを無理に消そうとせず、「今、自分はこ
のように感じているのだな」と、そのまま観察
する。これを続けることが、心の土台を鍛える
トレーニングになります。
筆者自身、毎朝20分の瞑想を30年以上続けて
います。その積み重ねが心を整えるうえで大き
な支えになっていることを、年々実感していま
す。
2,自然に触れる
自然は、加工されていない「生きた一次情報」
です。
私たちの都合とは関係なく、自然は自然のリズ
ムで移ろっていきます。
その中に身を置くと、目的や結論を急がず、
「ただ、ここにいる」という感覚を、頭ではな
く身体で思い出すことができます。
畑仕事でも、釣りでも、ただ芝生に座りぼーっ
としているだけでも自然の感性にもどれるよう
な気がします。
3、会議中、PCを開くことをやめる(減らす)
一対一で話をするとき、相手の顔を見ず、ずっ
とスマートフォンの画面を見ながら会話する人
は、ほとんどいないと思います。
ところが会議になると、参加者がそれぞれPC
の画面を見ながら話を聞く光景が、いつの間に
か当たり前になっています。
もちろん、資料の確認や記録のためにPCが必
要な場面もあります。
それでも、ときには画面を閉じ、話している人
の表情を見て、声の調子やその場の空気まで受
け取る。
そうした時間を意識的につくることが、対話の
質を高め、人と人とのつながりを取り戻すこと
につながります。
■AIがどれほど進化しても、それを何のために
使うのかを決めるのは、私たち人間です。
AIという優れたアプリケーションを生かすため
にも、その土台となる心のOSを、日々丁寧に
整えていきたいものです。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、
最良の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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「君子は本を務む、本立ちて道生ず」
(くんしは もとを つとむ。もと たちて みち しょうず)
立派な人はまず物事の根本や基本を大切にし、
土台がしっかりできてこそ進むべき道が自然と
開けてくる
孔子(思想家 紀元前551年 ~ 紀元前479年)
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