AIを成果につなげる、経営者の仕事
■先週は、オンラインでのトリプルヘッダーか
ら始まり、岩手県での年商100億円企業の幹部
会、顧問先の取締役会への参加など、慌ただし
い一週間となりました。
土曜・日曜は、創業以来70年以上にわたっ
て黒字経営を続けている会社の、4代目経営者
との合宿でした。
集中して考え、対話を重ねたため、二人とも夜
8時台には眠りにつくほど、密度の濃い二日間
となりました。
下の写真は、2日目の朝、夜明けとともに瞑想
を終えたあとにジョギングで訪れた近くの神社
です。
今回は、最近、顧問先との対話で話題に上るこ
とが増えた「AI」について、中小企業経営の視
点から考えてみたいと思います。
■顧問先でも、AIの活用が急速に広がってい
ます。
情報収集、文章や資料の作成、議事録の作成、
データ分析、プログラミングなど、これまで数
時間、時には数十時間かかっていた仕事が、数
十分で終わることも珍しくなくなりました。
このAIの進化は、私たち中小企業にとってチ
ャンスと捉えています。
■一方で、少し注意しなければならないことも
あります。
AIによって時間が生まれても、その使い方を
決めておかなければ、空いた時間は新たな会
議や資料作成に吸収されてしまう可能性があ
るからです。
かつてパソコンやWindowsが普及したとき
も、仕事が効率化する一方で、似たような資
料を複数の人が作り、「どこに保存したのか
分からない」ということが起こりました。
また、真剣な表情でモニターを見ていても、
実際には仕事とあまり関係のないウェブサイ
トを眺めている、ということもありました。
■既存の仕事の進め方を変えないままAIを部
分的に導入すると、
「作業は少し速くなった。しかし、業績も社員
さんの給与も変わらない」
という状態にとどまる可能性があります。
大切なのは、AIを導入すること自体ではあり
ません。
「AIによって生まれた時間を、何に振り向けるのか」
「その時間を、どのような成果につなげるのか」
を、経営者が明確に描くことが大切です。
これから問われるのは、AIに関する知識の差
だけではなく、AIを会社の成果につなげる経
営者の構想力と実行力だと思います。
■下表は営業職を例に
・AIに移す仕事
・AIに任せただけでは実現しないこと
・生まれた時間で、人がより力を注ぐ仕事
・その結果として、目指す状態
を整理したものです。
■このように、顧客情報の収集や提案書の下書
きは、AIが支援してくれます。
しかし、顧客との信頼関係を築くこと、対話を
通じて本当の課題を見つけること、複数の選択
肢から最善のものを選び、決断することは、
人にしかできない重要な役割です。
AIによって事務作業の時間が減ったのであれ
ば、その時間を顧客との対話や訪問、提案内
容の磨き上げに振り向ける。
そこまで設計して初めて、AIの活用が営業力
の向上につながります。
■そのためには、「どのような営業の状態を目
指すのか」を具体的にする必要があります。
例えば、次のような目標が考えられます。
・顧客との接触回数を30%増やす
・提案書の作成時間を50%削減する
・課題仮説を持って訪問する割合を80%以上にする
・面談後24時間以内の提案率を90%にする
こうした営業プロセスの中からKPI(重要な
指標)を定め、継続的に確認していくことで
AIの活用が営業力の強化や業績の向上につな
がっていきます。
■AI活用というと、「社員が上手なプロンプ
トを書けるかどうか」に目が向きがちです。
もちろん、それも必要な能力の一つです。
しかし、より大切なのは、
「何のためにAIを使うのか」
「生まれた時間を何に使うのか」
「どの成果を、どの数字で確認するのか」
を、経営として決めることではないでしょうか。
■AIは、仕事を速くすることはできます。
しかし、どのような会社をつくりたいのか、
社員さんにどのように働いてほしいのか、
顧客にどのような価値を届けたいのかを
決めるのは私たち人間です。
AIが普及するこれからの2~3年で生まれるの
は、単なる「AI活用力の差」ではありません。
AIによって生まれた時間を、人にしかできな
い仕事へ振り向け、社員さんの成長、顧客への
提供価値、そして業績や給与の向上へつなげら
れるか。
その経営の違いが、会社の未来を大きく分けて
いくのだと思います。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、最良の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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完璧な手段と、混乱した目的。
それが私たちの時代の特徴である。
アルベルト・アインシュタイン(物理学者1879~1955年)
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