採用ゼロ時代に勝つ会社の“人と組織”のつくり方
採用ゼロ時代に勝つ会社の“人と組織”のつくり方
■先日、かかわっている建設系の2社と、
今期の業績見込について話す機会がありました。
どちらの企業も、売上高が前年比でそれぞれ
120%、150%超えの見込みです。
ただ、興味深いのは両社とも
「売上至上主義ではない」という点。
どちらも無理な営業や急拡大を避け、
あえてセーブ気味に経営しています。
世の中の多くが「売上アップ」「成長加速」に
躍起になる中、今回は、こうした姿勢を貫いて
いる2社の経営から考えたことを共有します。
■この2社は共に、建設業の中でも「設備工事業」
を主な事業領域としています。
近年、「人手不足による倒産」が増えています。
わけても、建設業界はその傾向が顕著で、帝国
データバンクの調査によれば、全業種の中で最も
多く、倒産全体の約3割を占めています。

(出所:帝国データバンク)
■人手不足倒産の背景にあるのは、1995年を
ピークに減少し続けている
「生産年齢人口(15〜64歳)」です。
これは、構造的・不可逆的な問題で、少なくとも
今後30年はこの傾向が続くと考えます。
このような現状は、実は私たち中小企業の将来を
映し出しているとも言え、今後、ますます
「人手が確保できないことで廃業に追い込まれる
中小企業」が増えるでしょう。
そして、将来的には業界の構成が「大手企業」と
「少数精鋭の中小企業(現在の2割程度)」に
二極化し、その他多くの企業は、経営者の高齢化
とともに姿を消す…。
そんな時代が訪れる可能性が高いと考えます。
■それは、ますます厳しくなる採用戦線において、
資金力やブランド、福利厚生など体力に優れる
大企業は、大変ながらも人を確保し、
一方、私たち中小企業は、人件費を上げたくても
利益率が低い。魅力を伝えるブランディング力が
乏しい。地方やニッチ業種ほど人が来ない。
結果的に、求人を出しても応募がほぼゼロ、
採っても定着しないという現実・・・。
よって、買い手(需要)はあるが、
作りたくても作れない。
売りたくても売れない。
要は、人がいなければ、仕事があっても
事業を継続できくなるのです。
■しかし、心配することはありません。
先にご紹介した2社のように、立派に売上を
伸ばし続けている会社もあるのです。
両社に共通する成功のポイントは次の5つです
1,独自性のある経営理念を掲げている
2,その理念を日常業務に落とし込む努力をし続けている
3,提供する品質の向上に、地道に取り組んでいる
4,経営者の情緒が安定している
5,経営者としての「仕事観」がしっかり確立している
とくに4,と5,は注目すべきポイントです。
経営者のこの姿勢が、幹部から若手まで、
安心して働くことができる職場環境をつくり
出しているのです。
■このような好ましい職場環境が、結果として
社員数の増加、年齢層の若返り、さらには
お客さまの期待に応えられる体制へとつながって
いるのです。
そして上記1~5は、業種や企業規模、立地条件
を問わず、資金的な負担も少なく、今すぐにでも
取り組める打ち手です。
「ピンチはチャンス!」
この大変な時期に、会社も大きく変わること。
厳しい状況だからこそ、経営の本質と向き合い、
根本から会社を見直すチャンスです。
共に生き残り組を目指しましょう!
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
―――――――――――――――――――――
組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。
彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。
ピーター・ドラッカー(経営学者 1909〜2005年)
―――――――――――――――――――――